こんにちは。趣味といえば美術館へフラリと足を運ぶことくらいの あさよるです(;’∀’)> 以前は関西の美術館はよく通ってましたが、今は大阪でやってる特別展をササッと見てくるだけだなぁ~。
先日、あさよるネットで世界の図書館を紹介する本を紹介しました。ほうほう「図書館はこういうもの」って思いこんでいたけれども、世界には様々な図書館があって、図書館の仕事は多様なのだと知りました。
そこで、「じゃあ、美術館はどうなの?」と興味を持ちました。一応、図書館と美術館は定期的に通っている場所なので。『超〈集客力〉革命』は、人気美術館が集客のためどのような取り組みをしているのか紹介する本です。そして、美術館が担っている仕事についても触れられています。
ミュージアムは街をつくる
まず、「美術館という〈ハコモノ〉に〈有難い美術品〉を詰め込んでいるところ」ではなく、美術館が、人を呼び込み、人を動かし、町をつくるのです。日本での例として、兵庫県立美術館と、金沢21世紀美術館の取り組みが紹介されています。
兵庫県立美術館の場合
兵庫県立美術館は安藤忠雄さんの巨大なコンクリート建築で、建物自体がアート作品です。入り口には地元企業の液晶モニター画面が設置され、来館者を待ち受けます。また、屋根の上には巨大なカエルが!今ではすっかり兵庫県立美術館の「顔」になっています。
建物は3つに分かれており、地域の子どもたちの作品を展示したり、教育施設としての役割も担っています。
また、美術ファンだけが訪れる施設ではなく、それ以外の人も気軽に足を運べるよう、レストランや飲み屋を作りました。地元の灘の酒を味わうにもいいっすな! さらに、美術館の横にバスケットコートを作って、スポーツのお客さんも呼んでいるという念の入れよう。
「美術館って近寄りがたい」とか「縁もゆかりもない」人を、アート以外の理由でも引き込んで、「美術館を身近なもの」にする取り組みがなされています。
兵庫県立美術館の最寄り駅である阪神「岩屋駅」から、兵庫県立美術館へ続く「ミュージアムロード」は、美術館帰りにショッピングや食事ができるよう整備されています。美術館によって町が育って、町に集まった人が美術館に親しむ環境づくり推進中。
子どもたちが集まる美術館に
金沢21世紀美術館の取り組みはたくさんありますが、子どもたちを美術館へ招き入れる取り組みが印象的です。美術館が身近で親しみやすい場であるならば、その人はまた美術館へ足を運びます。その〈種を蒔く〉ために、地域の子どもたちを美術館へ招待します。しかも、現代アートなんかの、おもしろいやつ!
日本の美術館は静まり返っていて、とても子どもを連れて入れないような雰囲気があります。でも、外国の美術館では、騒いだり作品に触ったり壊したりしないなら、仲間で語らったり話し込んでいる人もたくさんいるそうです。
人びとが行き交う場所
美術館はたくさんの人々が行きかう場です。世界のルーブル美術館では、世界中には美術館目当てに人が集まります。本書でも、世界の名だたる美術館の特徴や取り組みが紹介されています。また同時に、小さな美術館も多数取り上げられています。日本の美術館の規模や環境は、世界の小さな名美術館をお手本にする方が合っているというのです。
小さな美術館といっても、「名美術館」なんですよ。
……と、あさよるは勿論行ったこともない美術館ばかりなので、解説は本書を読んでくだしあ~。
まちの人のふるさと
美術館へ遠くから人もやってきますし、美術館のある町の人も集います。自分の町の美術館が、特色ある良い美術館であったとき、その町の人々にとっても美術館は「ふるさと」や「町の顔」になり得ます。外からやってくる人へ向けた観光資源であると同時に、地元に暮らす人の文化的施設なんですね。
美術館がになうもの
アートが生活の中にあり、アートがコミュニケーションの中にある。様々な美術館を見ていると、美術館にも役割や仕事は、地域によって違っているようです。どうやら日本の美術館は、でーんと巨大な箱をつくって、中は空っぽ。美術品を借りてきて並べておしまい。せっかく面白いコレクションを集めても、良い特別展を企画しても、それを宣伝して周知しないと、人は来ません。
人を集めるためには、見た目カッコイイ!とか、この作品ヤベェーとか、パッと見て心惹かれる仕掛けも大切です。それは、アートは極一部の専門家やファンだけのものではなく、それ以外の人たちの生活も豊かにしうるものだからです。マニアだけが理解するものではいけない。
あさよるが、初めて足を運んだ美術館が、先に紹介した兵庫県立美術館でした。確かゴッホ展で、ゴッホの有名な作品も多数あって豪華な展示でした。が、あさよるは、やっぱり兵庫県立美術館のあの建物にも驚き、「特別な場所」へ自分は来たんだ!と胸がいっぱいになりました。大阪府内の自宅から神戸市へ来ただけなのですが、まるで旅行に来たような非日常と言いますか。で、今でも兵庫県立美術館へ行くと、気分が「ぱぁ~っ」となります。
美術館って、美術品を拝むだけじゃなくって、そこへ行くこと自体が楽しみだったり、お買い物したり食事したり、誰かと語らったり、たくさんの楽しみが重なってるところであって欲しいなぁと。「イオンでも行く?」みたいなノリで足を運べるといいね。
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超<集客力>革命 人気美術館が知っているお客の呼び方
目次情報
はじめに 美術館へいらっしゃい
第一章 兵庫県立美術館の「集客作戦」
「兵庫県立美術館前」のプレート
駅から続く「ミュージアムロード」
「ロックフィールドの灯り」が照らすもの
「ミュージアムシプラ」がお出迎え
訪れる人に楽しんでもらう演出
世界的建築家にモノを言う
貸し出しスペースを有効活用する
毎週末にイベントを開催
美術館に足を運んでもらうためのイベント
隣のバスケットコートを活用
レストラン、ミュージアムショップ
兵庫県立美術館の名前が新聞に毎日のように載る
毎日入場者数をチェックする
映画公開から一年後のジブリ展
会議室を託児所に第二章 人を集める展覧会の作り方
展覧会を「当てる」努力を
重要な展覧会タイトル
「常設展」を魅力的に
「見せ方」で感動が変わる
ゲーム感覚で「見る」ことを学ぶ
頭を真っ白にして作品に向かい合う
ジャンルを超えた「見る眼」が育つ第三章 美術館館長の経営学
美術館館長の一日
公立美術館の裏事情
美術館の民営化は是か非か
行政の問題点
美術館の経済学
世界の館長事情
これからの時代の美術館館長第四章 オークション・ビジネスの最前線
話題を集めるオークション・ビジネス
サザビーズに入社した理由
私が見たオークション会社
人気を集める「現代美術」
オークション会社で学んだこと
あこがれだったオークションの仕事
人気のコレクション
さよならサザビーズ第五章 驚異的な集客力を持つ世界のトップ美術館
「美術館」を訪れる旅
美術館を評価する基準
世界の美術館ベスト10
ルーヴル美術館の伝統と革新
プラド美術館
メトロポリタン美術館
テート・モダン
ボストンとシカゴ
ヴィクトリア&アルバート博物館
ナショナル・ギャラリー(ロンドン)第六章 お手本にしたい「小さいが魅力的な美術館」
参考にしたい名美術館
キンベル美術館
鉄鋼王と石油王の遺産
学園都市の二つの美術館
フリック・コレクション
小さい美術館の個性
小さな美術館の可能性第七章 美術館が街を変える、教育を変える
美術館建築のモダンデザイン
グッゲンハイム美術館の「革命」
ポンピドゥー・センターの「超」モダン建築
グッゲンハイム美術館ビルバオの衝撃
入場者が増え続ける現代美術館
金沢21世紀美術館の「成功」
子どもたちと美術館を結ぶもの
子どもたちの個性は美術館で培われる
美術館が子どもに教えられること
デザインと展覧会の共通点
個性的な建築が感性を刺激する
建築が街を変える
美術館の未来像~たくさんの人が来る美術館へ対談 蓑 豊×福原義春
美術館の未来を語る「21世紀ミュージアム・サミット」
パブリック・リレーションの重要性
タイトルにこだわる
学芸員の視野を広げる
「存在感のある美術館へ」へ
指定管理者制度の是非
美術館の「キャラクター」の重要性
蓑 豊(みの・ゆたか)
1941年、金沢市生まれ。65年、慶応義塾大学文学部卒業。69年~71年、カナダ・ロイヤルオンタリオ博物館(トロント市)東洋部学芸員。76年、ハーバード大学大学院美術史学部博士課程修士修了、翌年同大学文学博士号取得。76~77年、カナダ・モントリオール美術館東洋部長(94年まで)。95年に帰国後は大阪市立美術館館長、全国美術館会議会長などを歴任。2004年4月、金沢21世紀美術館館長に就任。同時に金沢市文化顧問を務め、翌年4月より金沢市助役も務める。07年4月より金沢21世紀美術館特任館長、大阪市立美術館名誉館長となり、同年5月より歴史ある世界的なオークションハウスであるサザビーズ北米本社副会長に就任。10年4月より兵庫県立美術館に就任。
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