【簡単に/わかりやすい】中野信子『サイコパス』|冷静で共感しない人たち

こんにちは。人間関係が上手くいかない あさよるです。力の入れ具合が分からなくなるんですよね。人前に出ると緊張するし……。今回、『サイコパス』を読んで、あさよるはサイコパス的特徴が全くないんだなぁと、ホッとするような、凡人認定されたような、遠い目になりました。

以前に中野信子さんの著書を読んで面白かったので(紹介したタイトルを最後にまとめています)、2016年末に発刊された『サイコパス』も読んでみたいと思いました。本書は、メディアでも宣伝なさっていたのを見聞きし、気になっていました。

本書の最後には、あなたのサイコパスチェックもついていています。

定義がなされていない

まず本書『サイコパス』では、「サイコパス」とは何かと定義がなされていません。“サイコパス的特徴”を持つとされる人物の実例が紹介され、身の毛もよだつ残忍な犯罪(殺人)を顔色一つ変えず冷淡にやってのけます。彼らには能力が高い者もおり、警察の疑いを涼しい顔でやり過ごす度胸や、犯行がバレないような工夫がなされています。「サイコパス」のイメージ通りの様子が描写されます。

ただ、具体的な「サイコパス」の定義がなされていませんから、“イメージ”に留まります。

あさよる的には、定義され型にハマったものではなく、「サイコパス」という傾向や特徴を持っている人がいる、という解釈なのかな?と思います。

「サイコパス」の傾向や特徴

本書の中で紹介される「サイコパス」的特徴とは、こんな感じでしょうか。

他人に共感せず、冷淡である。これは人の目を気にせず、冷静に自分の損得で行動できるともいう。普通の人たちは、例え自分の損になると分かっていても、他人からの理不尽な扱いをされると腹を立て、自ら損を選択することがある。しかし、サイコパス的な人たちは、他人からの仕打ちに関係なく、自分の得な方を選ぶ。

残忍な行為を平然とやってのける人は、もともと心拍数が低く、心拍数が上がりにくい特徴がある。女性より男性の方が乱暴なことが多いのは、女性より男性の方が心拍数が低いからだという学者もいる。

サイコパスは男性に多いイメージがあるが、女性のサイコパスもいる。女性のサイコパスの場合は女性の「か弱さ」や「清純さ」でもって、男性を捕まえる場合がある。

また、普通の人から見ると、サイコパスは魅力的に見える場合が多い。口が上手く、堂々としており、常識を超えた発言をするため、知的に見える場合もある。

利口なサイコパスと、そうでないサイコパス

サイコパスの中にも、頭の良いものとそうでない者がいる。反社会的な行為に及んだとき、頭のよいサイコパスは警察に捕まらないように行動する。上手いことやるのだ。反対に、下手をするサイコパスが捕まったり、あるいは精神病院で治療を受けることになる。本書のような「サイコパス」を扱う資料に登場するサイコパスたちは、下手をしたサイコパスである。

上手いことやっている頭の良いサイコパスを集めることができないので、統計が取れない。頭のよいサイコパスだと思われる人物の代表はスティーブジョブズ。彼はサイコパス的言動が語り継がれている。

サイコパスたち全員が悪人であるのではなく、前人未到のチャレンジに冷静に挑める、人類の飛躍に欠かせない要素を持っている人たちでもある。

肉体的な違いはあるのか?

サイコパスとは、後天的な要因なのか、生まれながらの違いがあるのだろうか。

本書の著書・中野信子さんは脳科学者なので、サイコパスの脳に注目している。どうやら、サイコパス的な人物の脳には特徴が見られるようで、恐怖を感じにくく、共感をしにくい脳をしている。人の身体が傷つく痛々しい画像を見ても、冷静にいられるらしい。

また、多くの人は、人の目だけを見てその人の感情を想像するのは難しい。しかし、サイコパスは少ない情報でも相手の感情を言い当てる。彼らは共感はしないけれど、人の感情を外側から理解できる。それ故に、普通の人たちから見ると、サイコパスは魅力的だったり、愛嬌があるように見える。

共感しない脳を持ちチームの輪を乱す者は、人類の歴史の中では淘汰されてきたのではないか。しかし、革命家や独裁者など、人類の歴史の中にサイコパスはいたのではないか。

あなたの周りのサイコパス

はてさて、サイコパスの定義が分からないまま読み進めてきましたので、漠然として想像しにくいのですが、〈第5章 現代に生きるサイコパス〉を読むと「ああ、そういう人いるかもなぁw」と思えます。

例に挙げられているのが、「プレゼン能力だけ異常に高い人」。向いている職業に就けば、すごくイイ能力に思えます。肩書きが有効だと知っているサイコパスは、華麗な肩書きを名乗っている場合もあります。他人の心を揺さぶり、コントロールするのが上手いブラック企業の経営者、ママ友のボス。炎上ブロガーやオタサーの姫も名を連ねています。

詳しいことは個別に見ないとわからないんじゃないかと思うのですが、確かに「どうかしてる」「なんでそうなるの?」というような人や、コミュニティがあるのも分かります。

抽象的で、上手く話を掴めなかったorz

中野信子さんの新しい書籍で(2016年11月初版)楽しみにしていたのですが、想像以上に抽象的な話題が多く、著者の言わんとしていることを上手く掴めませんでした……難しい>< 少なくとも脳科学についてと、そして心理学についてある程度知っておかないと難しいのかも。

現在のサイコパスの実例は、少し身近に感じましたが、実例を想像すると嫌な気持ちになるので、辛かったですw

最後に、要するにサイコパスって、こういうことか?w

あさよるネットで紹介した中野信子さんの本

中野信子『あなたの脳のしつけ方』|モテも運も努力も脳次第?
こんにちは。このブログを始めてから「人の体って面白いんだなぁ」と興味を持ち始めた あさよるです。 以前あさよるネットでも紹介した中野信子さんの『脳内麻薬』が面白かったので、同著者の本を選んでみました。 『脳内麻薬』も、誰でもわかるような入門...
『脳内麻薬 人間を支配する快楽物質ドーパミンの正体』|誰もがドーパミン依存!?
スマホアプリで無駄遣いしちちゃう! 彼・彼女なしじゃ生きられない! 恋する気持ちも、好奇心も向上心も、ドーパミンのせい!? アルコールをきっかけに、脳の働きを知りたくなった 以前、アルコールの働きを知るきっかけがありました。 人はアルコール...

サイコパス

サイコパス (文春新書)

サイコパス (文春新書)

  • 作者:中野 信子
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日: 2016-11-18

目次情報

はじめに 脳科学が明らかにする「あなたの隣のサイコパス」

アメリカでは全人口の4%/サイコパスをいかに見抜くか/魅力的な研究対象

第1章 サイコパスの心理的・身体的特徴

1 サイコパス事件簿

うつ病を上回る国家負担

ランディ・クラフト
――他人の気持ちを無視して欲望を満たす手段を「学習」した男

失敗から「学習」して殺人鬼に

ジェーン・トッパン
――陽気なホラ吹きの快楽殺人者

殺人でエクスタシーを得る/わくわくした気持ちで切り刻む

クリストフ・ロカンクール
――ウソがバレてもまったく動じない天性の詐欺師

「残っている段ボールも開けますか?」
――江東区マンション神隠し殺人事件

2 サイコパスの心理的・身体的特徴とは?

サイコパスに典型的な性格/サイコパスを見た目で判別する方法/心拍数とサイコパスの相関関係/ドキドキが抑止力/サイコパスはIQが高い?/積極性が高いから不安を感じない/相手の目から感情を読み取るのは得意/感情を揺さぶる言葉に対する反応が薄い/サイコパスが重視する道徳性、重視しない道徳性/自分の損得と関係ないことに無関心/サイコパスの悩み、苦しみ/反社会行動に関する4つの仮説

第2章 サイコパスの脳

1 サイコパスの脳の知覚能力、学習能力

「熱い共感」をもたない脳/恐怖を感じにくい脳――偏桃体の活動が低い/偏桃体と前頭前皮質の結びつきが弱い/良心というブレーキがない脳/ハイリスク・ハイリターンを好む/VMPFCの異常――痛々しい画像を見ても反応しない/海馬と後帯状回の機能障害--情動記憶についての欠陥/脳梁の形状にも一般人との大きな差

2 「勝ち組サイコパス」と「負け組サイコパス」

「勝ち組」「負け組」の違いは前頭前皮質の灰白質の体積/前頭前皮質を破壊された男――フィネアス・ゲージ/勝ち組サイコパスを見つける方法/社会的地位が高い人にはサイコパスが多い/ウソつきの前頭前皮質の灰白質・白質/サイコパスとウソ発見器との闘い

第3章 サイコパスはいかにして発見されたか

昔からいたサイコパス/革命家・独裁者としての勝ち組サイコパス/ギリシャ時代のサイコパス/「譫妄なき狂気」/「正気の仮面」/精神分析の失墜と脳科学の台頭/神経倫理学・神経犯罪学の登場とロンブローゾ再考/反社会性は遺伝するのか/神経伝達物質の分解が遅い/ADHDを併発しているサイコパス/サイコパスと精神疾患の合併症/ドーパミンを大量放出する遺伝子/環境によって変わるサイコパス/遺伝子と環境の相互作用/社会制度の整備とリテラシー教育を

第4章 サイコパスと進化

サイコパスが人類を進化させた/「良心」の機能とは?/フリーライダーとサンクション/サイコパスはフリーライダーか?/脳に「建て増し」された「良心」/サイコパスが生きやすい環境/サイコパスがもてる理由/女性の生理周期が「ダメ男」を引く/日本はサイコパスにとって生きにくい社会?

第5章 現代に生きるサイコパス

プレゼン能力だけ異常に高い人/経歴や肩書きが華麗すぎる人/ママカーストのボス、ブラック企業の経営者/炎上ブロガー/オタサーの姫、サークルクラッシャー/彼女はサイコパスか、パーソナリティ障害か?/サイコパスと信者の相補関係/老人が「後妻業の女」に転がされる理由/サイコパスとは恋愛できるか

第6章 サイコパスかもしれないあなたへ

サイコパスの自己診断は可能か?/PCL-Rの診断方法/DSM5における診断基準/ケヴィン・ダットンのセルフチェックリスト/サイコパスは治療できるか/効果的なプログラムとは?/都会のほうが生きやすい/サイコパス向きの仕事を探そう

おわりに

サイコパス研究の課題と困難/危うさを知ることの先へ

主要参考文献

中野 信子(なかの・のぶこ)

脳科学者。東日本国際大学特任教授、横浜市立大学客員准教授。1975年生まれ。東京大学工学部卒業、同大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年まで、フランス国立研究所ニューロスピン(高磁場MRI研究センター)に勤務。著書に『脳内麻薬 人減を支配する快楽物質ドーパミンの正体』(幻冬舎新書)、『脳はどこまでコントロールできるか?』(ベスト新書)、『脳・戦争・ナショナリズム 近代的人間観の超克』(中野剛志、適菜収との共著・文芸新書)ほか。

コメント

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