【書評】『自分の小さな「箱」から脱出する方法』|リーダシップと自己欺瞞。本音で生きろ!

こんにちは。本は最初から最後まで読むタイプのあさよるです。

最初の1ページ目から順番に隅から隅まで読みます(ザッとですが)。一度手に取った本は、内容はどうであれ最後まで読んでしまうタイプでもあります。

なのですが、たまーに途中で投げ出しちゃう本があります。この『自分の小さな「箱」から脱出する方法』がそうでした。

1割くらい読んで、「もういいや」と投げちゃったんですよね~(;’∀’)。そして後に、いつも読んでいる書評ブログさんが本書を紹介していて、「前に読もうとしたヤツだなぁ。この人はいい本だって紹介してるなぁ」と再び気になり、再び手に取りました。

読んでみると意外と……というか、すごく、いい本ジャマイカ!(; ・`д・´)

リーダーシップと自己欺瞞

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』。このタイトルだけ読んでもサッパリ意味が分かりません。

英語版のタイトル『Leadership and Self-Deception: Getting Out of the Box』の方が、内容をよく表しているかも。直訳すると「リーダーシップと自己欺瞞:箱からの脱出」です。

リーダーシップについて書かれた書籍だと分かりますが、自己欺瞞とは?それより箱ってなんだ?

自己欺瞞が、あなたを「箱」に閉じ込める

英語版のタイトルにある「Self-Deception」は、日本語にすると「自己欺瞞」です。自己欺瞞とは、自分で自分を欺くことです。

親切心が憎しみに?

例えば、席がなくてウロウロしている人を見つけた時、「自分が変わってあげよう」と思った。だけど、声をかけそびれてしまい、モヤッとしました。

このとき、「席を譲ろう」と自分の意志があったのに、意に反した行動を取ってしまったことになります。「自己欺瞞」ですね。

すると、自分を欺いた自分の行動を正当化しようとし始めます。先の例だと「席を譲って欲しいなら、頭を下げて頼むべきだ」とか「座りたいならもっと手前の駅から乗るべき」「この時間帯の電車が混んでいるのは当然だ」などなど、自分は悪くない理由を挙げ連ね始めます。

場合によっては、実際に相手に詰め寄ったり、辛くあたったり、イライラを爆発させてしまうこともあります。

人間心理として、そういうこともあるだろうなぁと想像できます。しかし……あれ?

「自己欺瞞」という箱の中

よく考えてみて下さい。最初、ただ相手に「親切にしよう」と素直に思っただけでした。なのに、いつの間にか相手を責め、攻撃しているんです。おかしな方向に迷走しています。

この状態を THE BOX ・「箱」の中にいる、と定義します。

自己欺瞞から端を発した「箱」の中にいると、事実を歪めて認識してしまいます。さっきの例だと、ただ席を探していただけの人を、グズな奴と思ったり、恩着せがましい奴、図々しい奴と思い込みます。「箱」の中にいると、そう見えてしまうんです。

これは、会社内でも起こります。家族間でも起こります。もちろん、見ず知らずの相手でも起こります。

「箱」の中にいると、周りの人々が事実とは異なる様子に見えてしまいます。そのせいで、怒り散らしたり、嫌味を言ったり、意地悪をしてしまったら……

自己欺瞞から始まった誤認のせいで、人間関係を壊してしまいかねません。そんな状態で、組織内でよいパフォーマンスなんてできるわけがありません。

物語形式で進む……サクッと読めない(;´・ω・)

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』、結構いい本です。少なくともあさよるは、かなり図星でグサッときましたし、そして、今後人と良い関係を結べる気がして、気持ちが明るくなる本でした。

しかし、これは欠点と呼ぶものなのかわかりませんが……。

本書は物語形式で話が進んでゆきます。ザラム社でチームを率いることになった主人公は、専務副社長バドからマンツーマンの研修を受けるところから始まります。

「君には問題がある。当社で成功したいのなら、その問題を解決しなくてはならない」

「そのことは職場の人間も知っているし、奥さんも知っているし、義理のお母さんも知っている。そしてご近所の人たちも知っている」

「問題なのは、君自身がそのころに気づいていないということだ」

副社長から突然こんなこと言われると、心臓に悪いですねw

もちろん、彼が変えている「問題」とは、彼が「箱」の中に入っているということ。バドは丁寧に根気強く聡すのです。

……こんな感じで、物語が進んでゆくので、サクッと読めるタイプではありません。もっとも、この「箱」に関する話、じっくり読まないと意図がつかみにく話でもあります。

理解すると単純な話なのですが、“「箱」に入る”という概念をイメージしないといけませんからね。

THE BOX・「箱」 からの脱出

余談ですが、日本語で「箱」というより、「THE BOX」の方がイメージしやすい気がします。この記事でも「THE BOX」で統一しようかとも迷ったのですが、日本語タイトルが「箱」とカギカッコつけて表現しているので、日本語版にあわせました(マジで余談w)w

そのTHE BOX・「箱」の中に入っていることに“気づく”。この“気づく”という行為で、「箱」から解放されるのです。

これは自己嫌悪に陥ったり、自分を卑下することとは違います。きちんと、問題点を見つけ、向き合うことです。「箱」に自分を閉じ込めたのは、そもそも“自分の思いを自分が裏切った”、自己欺瞞から始まりました。

“自分によって自分が裏切られた”。そのやり場のない思いを見つけるところから始まります。

別の言い方すれば「本音で生きる」ってことなのでしょう。

(ホリエモンこと堀江貴文さんの『本音で生きる』の内容を思い出しました)

居心地が悪い人間関係、なんとかしませんか?

本書『自分の小さな「箱」から脱出する方法』はビジネス書です。しかも原題にあるように、リーダーシップについて書かれた書籍です。

もちろん、家庭やプライベートでも利用できるスキルですが、やはりビジネスシーンで大きく生かしたいところ。

「リーダーシップ」について紹介された書籍は、あさよよるネットでも数冊紹介してきました(最後にまとめて紹介します)。

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』では、リーダーシップを発揮するために、まずは自らクリアしておかなければならない話です。他者との関係、チームのことを考えるとき、まずは自分が、自己欺瞞状態から抜け出す必要があります。

「箱」という新しい概念で捉えることで、今自分が陥っている状況を客観視できる、よいツールを得ました。あさよるも、常に箱の中にいるわけではありません。一日の中の多くの時間、箱の外に出ています。

しかし、ある特定の人物や、特定のシチュエーションでは、箱の中に入り、相手が悪いと怒っています。この状況を客観し、納得したのは、あさよるの中では大きな変化でした。

「箱」。この概念、今後も使います。

関連記事・リーダーシップに関する本

自分の小さな「箱」から脱出する方法

  • アービンジャー・インスティチュート
  • 大和書房
  • 2006/10/19

目次情報

監修者まえがき トラブルを引き起こしている「原因」の正体 金森重樹

第1部 「箱」という名の自己欺瞞の世界

CHAPTER 1 「君には問題がある」

・「自分ほど努力してきた人間はいない」
・「成功してきたわたし」の問題点

CHAPTER 2 自分だけが気づいていないこと

・誰にも気づかれないと思ってやっていること
・無能な部下に、「我慢」してつき合っている?
・「君のやり方は間違っている!」

CHAPTER 3 何も見えない状態に陥ること

・家族を守るために、仕事優先は当然?
・なぜ、自分だけが「蚊帳の外」なのか
・「自分が思い込んでいた現実」を検証する
・見えなかった「問題」に気づく

CHAPTER 4 さまざまな問題のもとになっている一つの問題

・問題の「原因」を追求する
・あなたの中の「自己欺瞞」がトラブルを呼ぶ

CHAPTER 5 効果的なリーダーシップを支えるもの

・「最初のミーティング」で与えられた課題
・相手をやる気にさせる「マネージメントの原則」
・「相手が自分をどう感じているか」
・妻が不機嫌なのは「夫の本音」を見ぬいているから?
・「いっそ認められないほうがましだ」
・相手を献身的な気持ちにさせる

CHAPTER 6 自己欺瞞に冒されている人ほど問題が見えない

・「自分」と「自分以外の人たち」
・「わたし」には「特権」がある?
・箱の外にいるか、中にいるか
・相手がどう感じたかを考えてみる
・成功の原因を作っているもの

CHAPTER 7 面の前の相手は「人」か、「物」か

・問題はどこにあるか
・仕事に対する情熱をかき立てるもの
・「行動」は問題じゃない
・箱の外に出たままでいられるか

CHAPTER 8 うまくいかないのは自分だけが悪いのか?

・一緒に仕事をしたくないタイプ
・一人の人間として相手と向き合う
・相手が箱の中に入っていたら……?

第2部 人はどのようにして箱に入るか

CHAPTER 9 箱に入っているのは、あなた一人じゃない

・「自分」はどう変わっていくのか
・いつも箱の外にいる必要はない

CHAPTER 10 箱の中に押し戻されてしまうとき

・組織における人間関係の問題
・「自分だけが努力しても変わらないのではないか」

CHAPTER 11 あなたを箱の中に追い込む「自分への裏切り」

・「自分がすべきこと」に背く
・「相手のすべきこと」を責める
・被害者の自分を正当化する

CHAPTER 12 ほんとうに相手が悪いのか? 自分を正当化できるのか?

・相手のことを「ひどい人間」だと感じるとき
・「しない理由」を相手の欠点に結びつける
・自分の都合のいい考え方
・「自分への裏切り」を正当化する
・「わたし」を怒らせる相手が悪い?
・剣を振り回しているのは誰だ?

CHAPTER 13 他の人たちが何を必要としているか

・「箱」の中での生活
・相手だって反省する必要がある?
・箱に入るのは、誰かのせいなのか
・「自己正当化イメージ」について

CHAPTER 14 なぜ自分ばかりが責められるのか

・箱の中に入るようにしむける行為
・なぜ自分が望む方向に進まないのか
・「箱」の中は居心地がいい
・共謀して「ひどい相手」を非難する関係

CHAPTER 15 自分の気持ちはどこに向いているか

・「仕事の成果」に集中するには
・「細菌」をまき散らしていた張本人

CHAPTER 16 箱の問題は、なぜ解決しなければならないか

・「問題」を引き起こすもの
・「伸びる会社」にとって何よりも重要なこと

第3部 箱からどのようにして出るか

CHAPTER 17 「素直な自分」を引き出す

・自分の気持ちを話したくなる人
・「変化のきっかけ」をつかむ

CHAPTER 18 「どうすれば箱の中から出られるか」

・自分の中の「嘘」に気づく
・自分以外はみんなが無能に見えるとき

CHAPTER 19 人として、相手と接する

・「箱の外」にいるときの自分
・「いい感じ」を保ち続けるには……?

CHAPTER 20 箱の中にいるときにしても無駄なこと

・相手を変えようとしてもうまくいかない
・相手と張り合っている自分に気づく
・「箱の世界」のコミュニケーション
・人間関係にテクニックは必要か
・自分の行動は変えられるか
・頑張れば頑張るほどうまくいかない?
・箱から出るために何をすべきか

CHAPTER 21 自分が楽な人間関係を選択する

・相手に逆らうのをやめてみよう
・「自分が間違っているのかもしれない」
・「相手のため」に行動することは損か

CHAPTER 22 何のために努力するのか

・「ひどい人間」が自分をダメにする?
・自分の中にいる限り問題は解決できない
・リーダーのあるべき姿

CHAPTER 23 本気にならなければ人はついてこない

・相手に伝えなければならないこと
・「君の力が必要なんだ」

CHAPTER 24 二度目のチャンスは用意されている

・次の段階に進む前に
・人に力を貸すにはどうすればいいか
・相手を知りさえすれば、怖いものは何もない

The Arbinger Institute [アービンジャー・インスティチュート]

アメリカ・ユタ州に拠点を置く研究所。哲学者T・ウォーナーが創設メンバーに加わっていたという異色の集団。現在ではビジネス、法律、経済、哲学、教育、心理学の専門家が一堂に会し、組織内にある人間関係の諸問題を解決することによって、収益性を高めようという独自のマネージメント研修やコンサルティング業務を行っている。ちなみに Arbingerとは先駆けの意。

金森 重樹(かなもり・しげき)

監修者

1970年生まれ。東大法学部卒。ビジネスプロデューサー。投資顧問業・有限会社金森実業代表。物件情報の提供から、融資付け、賃貸募集の支援まで行う会社組織「通販大家さん」を運営し、会員が億単位の資産形成するのをサポート(会員数2万人)。読者数18万人のメールマガジン、「回天の力学」の発行者として、マーケティング業界でも著名。

主な著書に、『1年で10億つくる!不動産投資の破壊的成功法』(ダイヤモンド社)、『インターネットを使って自宅で1億円稼いだ!超・マーケティング』(ダイヤモンド社)、『超・営業法「行政書士」開業初月から100万円稼いだ』(PHP研究所)などがある。

富永 星(とみなが・ほし)

訳者

京都生まれ。京都大学理学部数理科学系を卒業。国立国会図書館、自由の森学園教員などを経て、現在は翻訳者として活躍。主な訳書に、『素数の音楽』(新潮社)、『数学ができる人はこう考える』(白揚社)、『天国にいちばん近い場所』(ポプラ社)、『魔女になりたいティファニーと奇妙な仲間たち』(あすなろ書房)などがある。

コメント

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