こんにちは。生物学の勉強がしたい あさよるです。そのために、化学の勉強からやりなおさなきゃいけないことに気づき、呆然としていますw
今回は、大阪大学大学院・生命機能研究科および医学系研究科教授の仲野徹さんの『エピジェネティクス』を選びました。
なんじゃそら!?と聞いたこともない言葉です。仲野先生がラジオ番組に出演されているのを聞き、本書を紹介なさっていたのです。お話も終始面白く楽しい時間でした。
PodcastやWEB上でも聞けるようなので、ご拝聴あれ。↓
ちなみに、以前あさよるネットでも紹介した『かぜの科学』も、番組中に仲野先生が紹介なさっていたので、興味を持ちました。
「エピジェネティクス」ってなに?
まず、「エピジェネティクス」ってなによ?って話ですよね。詳しくは本書を読んでくださいとしか言えないんですが(笑)、ちょっと頑張って説明しようとしてみます。
と言いつつ、著者の仲野徹先生が中高生に向けた記事で、エピジェネティクスについてインタビューに答えておられました。
私たちのからだは、精子と卵子でつくられる受精卵が分化して、眼や腕や心臓などの細胞が形づくられていて、どんな細胞をつくるかは遺伝子によって決まります。どの細胞も基本的には同じ遺伝情報を持っているのに、それぞれ別々の細胞になるのはなぜか。それはそれぞれの細胞で使われる遺伝子と使われない遺伝子が決まっているからです。そして、それぞれの細胞には、使われる遺伝子と使われない遺伝子に、ある種の目印がついています。これが「エピジェネティクス制御」です。
―URL:第7回 | この人に聞く「生命に関わる仕事っておもしろいですか?」 | 中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室
この後も図解付きで説明が続きますので、ご参照ください。
最初の受精卵の細胞が分裂していく最中に、ある細胞は心臓に、ある細胞は消化器に、ある細胞は脳細胞に、と分化してゆき、身体を形作っています。
どの細胞も同じ遺伝子情報を持っていますが、別々の働きをするのは、遺伝情報が書かれた文字列に付箋をつけたり塗りつぶしたり、ON/OFFが切り替えられるからです。
この、遺伝子に目印をつけON/OFFを切り替える働きが「エピジェネティクス」です。
そして、父親と母親から半分ずつ受け継いだ遺伝子は不変ですが、「エピジェネティクス」は変化します。ですから、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児も、時間と共に遺伝子は同じですが「エピジェネティクス」が働くので別人のように変化してゆきます。
親から受け継いだ遺伝子は不変ですが、しかしその遺伝子の内、どの情報をONにするか。どのタイミングで、どれだけの働きをさせるか。変化します。
かつて生物は生まれながらの遺伝配列に左右されると考えられていましたが、後天的要素によっても変化が引き起こされるんです。
新書ながら、むずかしいよぅ><
本書『エピジェネティクス』は、最新の専門分野のお話を嚙み砕いて簡単に説明くださっているんだとうと思います。あとがきでは、高校生でも背伸びすれば読める内容を目指した、とあります。
しかしながら……あさよるには難しかったぁ……(;’∀’)> 正直、途中読み飛ばしちゃった部分もアチコチありました。
中高で習った理科の知識を総動員してお楽しみください。
「エピジェネティクス」という現象自体、最新のもので、今のところ全てを証明できるものではなさそう。今後の展開に超期待ってことですね。
wktk
「遺伝」とエピジェネティクス
これまで、持って生まれた遺伝子は変わりませんから、発病しやすい病気や体質等、生まれたときから決まっていると考えられていました。
しかし、エピジェネティクスの考えでは、遺伝子の情報だけでなく、どの情報を発現させるのかによって、その個体の持っている要素が変わってゆくと考えられています。
例えば、胎児の頃に栄養不足に陥った人は、生まれるころには通常の大きさで生まれ成長しますが、糖尿病や特定の病気にかかりやすいとデータにあるそうです。
そして興味深いのは、青年期に栄養状態が良かった人の、子や孫世代の寿命や体質に影響しているというデータもあるそうです。もちろん“遺伝子”には親の栄養状態は影響しませんから、エピジェネティクスが何らかの方法で受け継がれているように見えます。
ただ、全ての実験やデータの量はまちまちですから、全てが信頼できるデータとは限りません。が、エピジェネティクスが人間にも働いているかもしれない例として、面白いですね。
わたしたちもエピジェネティクスに動かされてる?
プレーリーハタネズミというネズミの生態が面白かったです。
プレーリーハタネズミの雄と雌は、つがいになると生涯連れ添い、片方が死んでも、もう片方は次の相手に興味を示しません。
この“つがいの絆”は、オキシトシンとバソプレッシンというホルモンが関係しています。
オキシトシンを雌のプレーリーハタネズミの脳室に注入すると、パートナー嗜好が生じます。雄のプレーリーハタネズミにはバソプレッシンを投与しても、同じようにパートナー嗜好が生じます。
「このネズミじゃなきゃダメっ!(///)」って感じ?
二つのホルモンが両者に働くことで、プレーリーハタネズミ夫婦の絆が生じ、逆戻りしません。
エピジェネティクスは、一定方向にしか働きません。ボールがコロコロと坂道を転がることはあっても、坂を上り始めることがないのと同じです。
人間とネズミは違います。プレーリーハタネズミが持っている生態を、ヒトも持っているとは限りません。
だけど自分の行動や嗜好も、同様に何か原因があってボールが転がるように、エピジェネティクスが働いているのかもしれないと思うと……怖い気もしますし、面白いとも思います。
「生まれながらの遺伝子だけではない」という考えは、現代の多くの人にとっても興味深い事柄ではないでしょうか。
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エピジェネティクス 新しい生命像をえがく
- 仲野徹
- 岩波書店
- 2014/5/21
目次情報
はじめに
序章 ヘップバーンと球根
第1章 巨人の肩から遠眼鏡で
1 美しい実験
2 エピジェネティクスとは何か
3 パラダイムの転換なのか?第2章 エピジェネティクスの分子基盤
1 ゲノムに刷り込まれる情報
2 遺伝子発現の制御
3 ヒストンの修飾
4 DNAのメチル化第3章 さまざまな生命現象とエピジェネティクス
1 植物だってエピジェネティクス
2 女王様をつくるには
3 行動や記憶も左右する
4 「獲得形質」はエピジェネティクスに遺伝する?第4章 病気とエピジェネティクス
1 がんの発症と診断・治療
2 バーカー仮説と生活習慣病
3 ゲノム刷り込みが関与する疾患第5章 エピジェネティクスを考える
1 三毛猫とX染色体
2 エピゲノム解析
3 生命現象を支える柱終章 新しい生命像をえがく
おわりに
仲野 徹(なかの・とおる)
1957年 大阪生まれ
1981年 大阪大学医学部卒業,内科医として勤務,大阪大学医学部助手,ヨーロッパ分子生物学研究所研究員,京都大学医学部講師,大阪大学微生物病研究所教授を経て,
現在―大阪大学大学院医学系研究科・生命機能研究科教授
専攻―エピジェネティクス,幹細胞学
著書―『カラーイラストでよくわかる 幹細胞とクローン――全能性のしくみから再生医学まで』(羊土社,2002),『なかのとおるの生命科学者の伝記を読む』(学研メディカル秀潤社,2011)
コメント
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