藤ノ木古墳の呪い? 二人の埋葬者は誰?

20 歴史、世界史、文化史

「藤ノ木古墳」をご存じだろうか。

奈良県は斑鳩にある古墳で、あの法隆寺のすぐお隣だ。

といっても、造られた時代は法隆寺よりも古い。

法隆寺が、藤ノ木古墳の隣に建立された、と言った方が正確でしょう。

石棺は、盗掘されていない完全な状態

藤ノ木古墳は、古くからそこに古墳があることは知られていました。

1985年、藤ノ木古墳の調査が始まりました。

発掘を始めると、石室の中に蓋の開いていない石棺が見つかります。

石棺は朱塗り。

保存のため、石棺内の調査も始まります。

この調査の記録がとても面白い!

前園実知雄先生の『斑鳩に眠る二人の貴公子』をおすすめします!

石棺を開けると中には水が溜まっていて、その中に埋葬者の骨や布、そしておびただしい数の銅でできた副葬品が出てきます。

それを一つ一つ記録しながら取り出していくのは、大変な作業です。

そして、埋葬者の骨は、なんと二人分だったのです。

一つの石棺に二人埋葬されていたというのは、謎が謎を呼ぶ展開です。

江戸時代まで古墳の中で埋葬者の供養がされていた?

古墳の入り口部分では、江戸時代の灯明皿も発見されています。

これは……?

江戸時代のある時期までは、古墳の入り口は開いており、そして埋葬者の供養がなされていたと考えられます。

そして、何らかの事情で閉じられ今に至る……。

古墳ができてからの千数百年の間、ずっと供養され続けていた。

これつまり、それだけ埋葬者の力が強かったから?

なんて妄想も膨らみます。

被葬者は誰と誰?

ででで、一番のミステリー。

石棺の中に埋葬されていたのは誰と誰なの?

鑑定の結果、両者とも男性だとされています。

そして、日本書紀の記述を読み解いてゆくと、同じころに暗殺された穴穂部皇子(あなほべのみこ)と、宅部皇子(やかべのみこ)ではないかと推理されています。

もちろん異論もあるようです。

『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』めっちゃおすすめ!

今回紹介した『斑鳩に眠る二人の貴公子 藤ノ木古墳』は、ページをめくる手がまどろっこしく感じるほど、とても面白い。

歴史や考古学に興味のない人にも読みやすいし、発掘の様子はワクワクが止まらない。

そして、二人の被葬者が誰なのか推理のようすも面白い。

藤ノ木古墳発掘をリアルに体験した人たちの経験が羨ましく思います。

めっちゃおすすめ!

読んでみて!

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目次情報

第1章 暗闇の中の朱塗りの石棺

1 藤ノ木古墳の最初の調査
2 横穴式石室に入る
3 豪華な金銅製馬具

第2章 円墳と横穴式石室

1 墳丘は円墳だった
2 横穴式石室の構造と構築状況

第3章 家形石棺を開く

1 ファイバースコープによる調査
2 石棺を開く

第4 葬られたのは二人

1 幾重にも布に包まれた二人
2 遺物はどちらの人のものか
3 遺物が語る年代
4 二人とも男性
5 埋葬は初夏の頃

第5章 藤ノ木古墳に眠るのは誰か

1 法隆寺などに残る陵山文書
2 守られてきた藤ノ木古墳
3 文献に見える死亡記事
4 藤ノ木古墳の被葬者像

あとがき

コメント

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