キリスト教を知ることが現代日本を知ること
橋爪大三郎+小沢真吉『ふしぎなキリスト教』では、日本人的視点からキリスト教のふしぎを、著者二人が対談形式で紹介されます。
日本ではキリスト教徒の数は少数派ですし、キリスト教や聖書の教えがどのようなものか知らない、全く触れたこともないという人も多いかもしれません。
しかし、キリスト教世界は、私達の生活に密着しているともいえます。
本書でもあとがきは、戦後日本の「日本国憲法」「民主主義」「市場経済」「科学技術」「文化芸術」が、キリスト教から“もらわれてきた”ものだと喩え話で紹介されています。
便利なものはもらっておけば良いのかもしれませんが、そもそも私達の考えや風習とは反りが合わないものも含まれているでしょう。
どの部分を拝借し、どの部分をアレンジするにしても、まずはオリジナルを知らなければいけません
キリスト教を知ることは、今の自分の現状を考えるにも、必要な指針でしょう。
本書では、キリスト教徒は絶対に言わないような、聖書の解説本でも触れられないような事柄にも、ざっくばらんに触れられています。
関連記事
- 『イチから知りたい! 聖書の本』|美術展のおともにkindle版を!
- 『失敗だらけの人類史』|原罪…思い込み、ウッカリの歴史
- 『人は「死後の世界」をどう考えてきたか』|死んだら地底か来世なのか
- 池上彰『高校生からわかるイスラム世界』|今を知るには歴史が必要
- 『池上彰の宗教がわかれば世界が見える』|社会、外交、世界を考える
- ビジネス書としての『西洋美術史』|美術史は世界史を知ることだったりして
Information
ふしぎなキリスト教
- 著者:橋爪大三郎+小沢真吉
- 発行所:講談社
- 2011年5月20日
目次情報
- まえがき
- 第1部 一神教を理解する――起源としてのユダヤ教
- 第2部 イエス・キリストとは何か
- 第3部 いかに「西洋」を作ったか
- あとがき
- 文献案内
著者略歴
橋爪 大三郎(はしづめ・だいさぶろう)
一九四八年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。現在、東京工業大学教授。社会学者。著書に『はじめての構造主義』『はじめての伝言ゲーム』(ともに講談社現代新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)、『冒険としての社会科学』(洋泉社MC新書)、『「心」はあるのか』(ちくま新書)などがある。
―橋爪大三郎+小沢真吉『ふしぎなキリスト教』(2011、講談社)カバー
大澤 真吉(おおさわ・まきち)
一九五八年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。千葉大学助教授、京都大学教授を歴任。著書に『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)、『不可能性の時代』(岩波新書)、『「正義」を考える』(NHK出版新書)、『量子の社会哲学』(講談社)などがある。思想月刊誌『THINKING「O」』(左右社)を主催。
―橋爪大三郎+小沢真吉『ふしぎなキリスト教』(2011、講談社)カバー
コメント