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ゴジラ立ち、ティラノサウルス、ネコののびの姿をコピックで描いたイラスト

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ゴジラ立ち、ティラノサウルス、ネコののびの姿をコピックで描いたイラスト

以前、ネコを飼っていました。日がな一日、家の中で寝ているネコを、日がな一日、ひたすら観察していました。
私達にとって一番身近な生き物はヒトですが、ヒトをあまりジロジロと観察するわけにはいきません。ペットに買っているヒト以外の動物の方が、観察対象にしやすいようです。

うちにいたネコは気性が荒く、いつもよそのネコに喧嘩をしかけます。そのためなのか、肉体は常に鍛え上げられ、爪も磨き上げられていました。それはしなやかで、野生を感じさせました。
ネコがネコらしく振る舞い、鍛え上げられ磨き上げられた肉体は、荒々しく、美しいのです。

かつて恐竜は「ゴジラ立ち」だった

かつて恐竜図鑑には、のっそりと二本足で立ち上がったティラノサウルスのイラストが載っていました。長い尻尾は地面に垂れ、背中をヒトのように真っ直ぐに伸ばしガニ股で立ち上がっています。まるで怪獣のゴジラのような姿です。

昭和47年発行の『学研の図鑑 大むかしの動物』では、図鑑の冒頭で恐竜と怪獣の違いについて触れられています。ご存知のように、恐竜はかつて地球上にいた生物ですが、ゴジラはフィクションの存在です。
『ザ・ロスト・ワールド』や1980年公開『ドラえもん のび太の恐竜』でも、同じような「ゴジラ立ち」をする恐竜たちが登場します。かつては、このスタイルが恐竜の姿でした。

現在の恐竜の姿は大きく変化しています。ティラノサウルスは大きな頭を下げ、前傾姿勢気味に、長い尾をぴんと真っ直ぐに伸ばし歩きます。映画『ジュラシック・パーク』に登場した恐竜たちがそうです。

もうゴジラのように立ち上がっている恐竜のイラストや映像を見かけません。どうしてでしょうか。

巨大な生物ほどモデルウォークをする?

恐竜の姿は化石となって地中から発見されますが、骨の形の化石のみを集めても、その生物の生きていた頃の様子は分かりません。恐竜の姿が大きく変化したのは、例えば足跡の化石の発見です。
恐竜の足跡は世界中で発見されており、まるで一本の線の上をモデルウォークするかのように、真っ直ぐに二本の足で美しく歩いています。先のゴジラのような体つきではそのような歩行はできません。

『カラダが変わる! 姿勢の科学』によると、体の大きな生物ほど、足並みが美しく揃っているようです。
大きくて重たい体では、歩行をすると足を着地させるたび体に大きな負荷がかかります。体への負担を減らすため、足並みを揃え美しく歩くのです。

ゾウは、あの大きな体からは意外なほど、歩幅は小さく(と言っても私たちよりも大きい)、美しい足跡を残します。
ティラノサウルスはゾウよりも巨大です。
歩幅を均等に、一本の線の上を歩くかのように真っ直ぐに美しく歩行していたことは当然でしょう。

では、我々ヒトの歩行はどうでしょうか。

私たちヒトは巨大な頭を持っている

私たち人間は、ティラノサウルスやゾウよりも小さく軽量です。本来ならば、巨大な生き物ほど歩行や姿勢に気をつけなくても良いのかもしれません。

しかし、私たちはいつの頃からか二本の足で立ち上がり、直立し、歩き始めました。背中を伸ばし、首の上に頭を据え付けたことで頭蓋骨が大きく発達しても支えられるようになりました。二足歩行することで、二本の腕は自由になり、物を掴み、道具として用い、それらを改良し、手を加え、手で作業することが、脳を刺激し、更に脳を発達させました。
代償に、私たちは大きな頭を背骨のてっぺんに乗せていることで、首や腰、足に大きな負担を抱えるようになりました。ヒトにとって、肩こりや腰痛は常に悩みの種ですね。

私たちの体は巨大ではありませんが、ユニークな骨格を手に入れました。利点もありますが、ユニークさ故に骨格に負担もかかります。
負担を軽減するためには、巨体のティラノサウルスやゾウと同じように、私たちも歩行には注意が必要でしょう。

また、骨格を筋肉でグッっと支え上げることで関節や骨への負担を和らげられます。
ネコが自らの肉体を鍛え上げるように、我々もまた、肉体を鍛え上げる必要があります。

ヒトがヒトらしく、二本の足で歩き、自らの肉体を鍛え上げる姿は、荒々しく美しいのでしょう。

Information

カラダが変わる! 姿勢の科学

  • 著者:石井 直方
  • 発行所:株式会社筑摩書店
  • 2015年3月10日発行

目次情報

  • はじめに
  • 第一章 「立つ」とはどういうことか
  • 第二章 「良い姿勢」「悪い姿勢」とは何か
  • 第三章 加齢でカラダはどう変わるのか
  • 第四章 健康は姿勢からはじまる
  • 第五章 良い姿勢をつくるトレーニング
  • 第六章 「立つ」から「歩く」へ
  • 主要参考文献

著者略歴

石井 直方(いしい・なおかた)

1955年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・新領域創成科学研究科教授。理学博士。専門は身体運動科学、筋生理学。人体のメカニズム、エクササイズ、健康や老化防止などについてのわかりやすく実践的な解説に定評があり、テレビ出演も多数。ボディビルダーとしても数々の輝かしい実績を持つ。『筋肉学入門』(講談社)、『スロトレ』(高橋書店)、『運動に関わる筋肉のしくみ』(新星出版社)など著者・監修書が多数ある。

―石井直方『カラダが変わる! 姿勢の科学』(ちくま新書、2015)カバー

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